理想的なTNRとは?「野良猫不妊手術キャンペーン」【Box竜之介】vol.4

TNR活動 トップイメージ

2018年2月22日~28日、熊本の竜之介動物病院で7回目の「野良猫不妊手術キャンペーン」がおこなわれました。

そこで新たに783頭のさくら耳の愛され猫が誕生しました。

前回よりも不妊手術の実施頭数は下回るものの、今回のTNRは今後に繋がる重要なものだったのではないかと、獣医師やボランティアスタッフの胸に残るTNRとなりました。

ボランティアに参加した実体験と、獣医さんにお伺いしたお話しをもとに、7回目の「野良猫不妊手術キャンペーン」を振り返ります。

野良猫不妊手術キャンペーンとは?

boxryunosuketnr07

ボランティア団体、Box竜之介が開催する「野良猫不妊手術キャンペーン」では、次の5つの条件を満たす猫ちゃんを対象に、以下の内容で不妊手術をおこなっています。

<キャンペーンの趣旨>

不幸な猫を減らす活動の世界共通語『TNR』の一環としておこなっています。TNRとは、次の頭文字をとった用語です。

Trap:トラップ(捕獲器で野良猫を捕獲すること)
Neuter:ニューター(不妊手術のこと)
Return:リターン(元の生活場所に戻してやること)

<必須条件>

1.野良猫である
2.ノミ駆除(実費必要)をする
3.耳カットする
4.キャンペーンの趣旨に賛同する
5.日帰りが原則

※体重1kg未満の子や、体調が悪い子は手術できません。

<期間>

◆2月22日~2月28日
(2.22のニャンニャンニャンの日から一週間)

◆11月22日~11月28日
(11.22のワンワンニャンニャンの日から一週間)

※年に2回、上記日程の予定でおこなっています。

<費用>

不妊手術(無料)+外部寄生虫駆除代(1,080円×頭数分)

<お申込み方法>

事前予約が必要です。
TEL 096-247-6877(平日9時~17時)

※キャンペーン前に予約開始のアナウンスがありますので、それ以降に予約可能です。
 

「野良猫不妊手術キャンペーン」の活動内容については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、併せてご覧ください。
 

なぜ野良猫に不妊手術が必要なの?

子猫

殺処分される猫の7割が子猫

環境省の調べによると、平成28年度に45,574頭の猫が殺処分されており、さらにそのうちの約7割が子猫だということが分かっています。都道府県によっては、子猫の割合が9割を超える地域もあると言います。

出典:環境省ホームページ (https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html

2匹の猫が2年後には100匹に

人や犬と違い、猫は交尾排卵動物と言って、交尾刺激によって排卵します。そのため、交尾をすればほぼ確実に妊娠します。

猫は日照時間が長くなると発情するため、発情期は春頃だと言われていますが、最近では栄養状態が良かったり、人工灯の影響などによって、一年中いつでも妊娠や出産ができるようになってきました。

生後6ヶ月で発情期を迎える猫は、妊娠をすると1度の出産で4~6匹の子猫を産みます。その妊娠期間はわずか2ヶ月です。年に2~3回出産するため、たった2匹の猫が一年で15匹以上に増え、さらに2年後には100匹を超えることも可能です。

野良猫の増加によるトラブル

野良猫が増加することによって、さまざまな問題が起きています。

・糞尿被害
・ゴミ荒らし
・鳴き声などの騒音被害

これらは、私たち人間にとっての問題ですが、猫にとっても増えすぎることは良いことばかりではありません。

・縄張り争い
・餌の奪い合い
・喧嘩による感染症など

そして、なにより大きな問題は、野良猫の増加が殺処分に繋がってしまうことです。

TNRで野良猫の不妊手術をおこない、野良猫の繁殖率を減らすことによって、野良猫の数を抑制することができます。

全国でおこなわれているTNR活動や、Box竜之介が実施している「野良猫不妊手術キャンペーン」は、殺処分をなくすことを一つの目標としておこなっています。
 

理想的なTNRとは?

TNR活動 獣医師01

第1回目の「野良猫不妊手術キャンペーン」からボランティアに参加しているアニマル動物病院の院長 本田敏裕先生に、TNR終了後にお話しをお伺いすることができました。本田先生の言葉を交えながら、2月に開催された7回目のTNRを振り返っていきたいと思います。

その中で、「今回のTNRは、理想的なTNRのカタチのひとつ」だと話していた本田先生の言葉が強く印象に残っています。

学ぶことが多いTNRの現場

自身の動物病院を開院して20年になる本田先生がTNRに初めて参加したのは、2年前のことです。それ以降も欠かさず参加している本田先生ですが、当初のTNRの現場では衝撃を受けたと言います。

Box竜之介のTNRは、全国の獣医さんのボランティアで成り立っています。中には、野良猫の不妊手術を専門とした動物病院の先生も参加しています。

不妊手術は、動物病院でもっとも多い手術のひとつでもあり、日常茶飯事のものだと思われることもあるそうですが、専門的に不妊手術をおこなっている先生の”それ”は、まったく違うものだったそうです。

本田先生のようにベテランの獣医さんにとっても、TNRという現場には学ぶものや得るものが多いのだと感じました。

急成長して帰っていく獣医師

最初は、たった数名の獣医師でおこなっていたTNRも、少しずつ賛同する先生が増え、多い時では10名を超える獣医さんが参加する日も出てきました。

遠いところでは北海道から足を運ぶ先生もいて、どの獣医さんも自身の本業は別にある中、やりくりして来ています。

そうした中、TNRのキャンペーン期間中に、何度も見かける獣医さんがいます。スキルアップをかねて参加している先生です。

臨床経験の有無に関わらず、TNRには一人でも多くの獣医師が必要であり、誰ひとり欠かせない存在だと話す本田先生。

7日間のキャンペーン期間中には、約700~2,000頭の野良猫がやって来ますが、この手術数というのは、本来の動物病院であれば、2~3年分に相当するのだとか。

数年分を数日で経験した新人の獣医さんは、キャンペーン期間の後半には、すっかり他の先生達と肩を並べて手術に当たっているそうです。

そんな獣医さんの姿を、本田先生はこれまで何度も心強く見つめてきたのです。

TNRの獣医師が足りない

Box竜之介のTNR活動が周囲に浸透し始めると、さらに多くの人が野良猫を連れて来てくれるようになり、回数を重ねるごとに不妊手術の実施頭数は、2倍、3倍にまで増加しました。

野良猫を捕まえるのは、決して容易なことではなく、中には怪我を負いながら猫を連れて来る人もいるほどです。それを知っているからこそ、実施頭数の増加は、獣医師にとっても、ボランティアスタッフにとっても、喜ばしいことだったと思います。

しかし、実施頭数に相反するように、獣医師の数が足りないといった事態に直面することもしばしばです。

特に今回は、獣医師の人数確保が難しく、やむを得ない状況に迫られた結果、不妊手術の実施頭数が減少するといった結果になりました。

体制づくりが大切

不妊手術の実施頭数は減少したものの、今回のTNRは大成功だったと、獣医師やボランティアスタッフは感じています。

TNRの実施頭数を予約の時点で事前に管理することによって、体制をきちんと整えることができ、その結果、一匹一匹の野良猫に費やせる時間も増えました。

余裕をもって動けることでトラブルやミスも減り、より良い環境でTNRに専念することができ、それがTNR活動の質の向上にもつながります。

獣医さん達にはもちろん、ボランティアスタッフにとっても、これは嬉しい変化でした。野良猫に声を掛けたり、頭を撫でたり、耳掃除をしたりと、嬉しそうに甲斐甲斐しく世話をするボランティアスタッフの姿を何度も見かけました。

TNR活動 お世話するボランティアスタッフ

 

こちらの記事では、「野良猫不妊手術キャンペーン」に参加した5名の獣医さんにインタビューをおこなっています。獣医さんのTNRに対する考えや想いについてまとめていますので、是非ご覧ください。
 

さいごに

TNR活動 まとめイメージ

「一匹でも多くの野良猫の手術をおこないたい」という気持ちも大切ですが、そのための体制をしっかり整えることも重要なのだと、今回のTNRで学んだような気がします。

そのうえで、何よりも不足している獣医さんの協力が絶対的に必要だと感じました。

TNRという活動に対する理解が深まり、たくさんの方からの賛同が増え、この活動が広がることを信じて願っています。

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